今現在、一緒に暮らしている愛猫の「クオン」と「ミーア」は
一緒に暮らしていた愛猫タイガの旅立ちのあとに迎え入れた猫たち。
もともとは私の兄の家で可愛がっていた猫だったので、
私がクオンとミーアと一緒に暮らすことは、想像もつかなかった。
ある日、私は母と久しぶりに電話をしていると
「兄が二匹の猫を里親に出すことを考えている」と初めて聞いた。
その日私は、長年飼っていた愛猫の「タイガ」の病気が進行し、獣医師からの余命宣告を受けたことを話すつもりで電話していた
複雑な気持ちをもちながらも、なぜ可愛がっていた二匹の猫を兄が手放そうとしているのかを母に聞いてみる
兄は、「猫アレルギー」を発症し、症状がひどいことが手放す理由だと私に言った
愛猫はすぐ手の届くところにいるのに、元気なのに、
色んな事情で猫と一緒に暮らすことが難しくなってしまうこともあるんだと、
最愛の猫との別れ方は、本当に人それぞれだと痛感をした。
きっと兄も、猫と一緒に暮らせなくなることは想像できていなかっただろう。。
私の兄は小学生の時とか飼育委員に入ったり動物をたくさん飼っている友達の家に遊びに行ったりと
昔から動物と接するのが好きなイメージがあったから、猫アレルギーを発症したことには驚いた。
タイガの今後のことで頭がいっぱいだった私は、その話を聞いても自分が猫を引き取るという考えは正直浮かんでこなかった。
数日後、タイガは私と夫に見守られながら自宅で息を引き取った
ペットの葬儀社でタイガのお見送りが終わり、小さな包みの中にいるタイガが私の手元に戻って来たとき
タイガの痛みや苦しみがやっと解放されたことに、私は少しだけ気持ちが落ち着いた。
そして母にタイガの報告をしながらも、
「兄宅の2匹の猫をうちで迎え入れられたら…」という気持ちが頭の中でよぎった
けれど、いまはタイガを見送ったばかり。
「今はタイガのことだけ考えていたい」
「こんな悲しみのなかで2匹を受け入れられるわけない」など、
頭が混乱していて、クオンとミーアの件には触れることができずにいた。
その日の夜、夫との話の中で「兄が飼っていた猫を里親に出すことを考えているみたいなんだよね」ということを伝えた
夫は、「じゃあ、うちで引き取ろう」と一言。
「………えっ?」私の中では予想外の言葉だった
夫もタイガとの別れには、かなり堪えていたから。
「本気で言ってるの?」
「そんなの引き取る以外にないでしょ」と。
嬉しい気持ちが一瞬で込み上げたけれど、すぐに現実に目が覚めて
「2匹を本当に幸せにしてあげられる自信がない」と言った。
私はそのとき、もっとタイガを助けてあげられる方法はなかったのか
タイガがうちに来て本当に幸せだったのか、
正解がわからないことばかりを考えて自信をなくしていた
「クオンとミーアと一緒に暮らしてあげたい」気持ちはあったけど、
他の里親さんに育ててもらったほうが幸せなんじゃないかという思いもあった。。
夫は大変なことだけれど、と前置きしながらも、
私にとっても、家族にとっても、猫たちにとっても「それが一番適切な選択」だといい、最後まで猫を受け入れる姿勢を貫いた
「簡単に言うな」と私は腹を立てたけれど、
言葉とは裏腹に夫の言葉は正しく感じた。
心の中では、タイガの旅立ちの時にクオンとミーアの里親の話が出たタイミングが重なったことは、なにか意味があって「縁」なんじゃないかと、
「もしかしてタイガは、2匹と暮らすことを願っているんじゃないか」とか、
そんな勝手なことを思ったりなんかもした。
それから冷静になってちゃんと考えてみて、2匹の猫を改めて迎え入れることを決意することができた。
いままで母や兄は、私たち家族に猫を引き取る提案なども一切なかったけれど
「私が引き取ってもいいのかな」と初めて聞いたとき、ものすごく喜んでくれていたのが電話越しでも伝わってきた。
それから兄と何度かやりとりをしながら、クオンとミーアは私たちの家族になった。
クオンとミーアを迎え入れることを決意してからも、トラブルや不安を感じたこともあったけれど、2匹を迎え入れたことに対しては後悔はしていない。
もしも迎え入れなかったら、私は今でもタイガのことばかり考えて泣いて、「ペットロス」から立ち直ることができなかったのかもしれない。
時折タイガのことを思い出しては、胸が締めつけられるけれど、
タイガの2倍くらいある体のクオンとミーアが傍にいてくれるだけで元気をもらっている。
2匹が慣れないところで新しい生活をスタートさせるには、ものすごいストレスだっただろう、、
私はクオンとミーア、タイガにも「2匹を大切にすること」を改めて誓った
猫との暮らしは全く新しいカタチとなったけれど、新しく始まる幸せも大切にしていきたいと思っている。